出産までの

詳細をまとめてみました。

  • AM 3:00

    嫁に、「前兆(軽い出血)があった」と起こされる。お腹もたまにちょっと痛いとのこと。しばらく様子を見ることにする。

  • AM 5:00

    2時間ほど、たまにくる痛みの間隔を調べてみると大体10分前後。ただし我慢できないほどではないとのこと。「前駆陣痛」というヤツかもしれない。前兆もあったことだし、産科に電話してみる。すると、直ぐに来てくださいと言われる。念のため入院の荷物を持って病院へ。病院までは車で3分。

    到着して診察。すると、やはり入院しましょうとのこと。僕は看護婦に携帯電話の番号を伝えて一旦帰宅。

  • AM 8:40

    出勤しようと思ったが、入院手続きを済ませたいので会社へ連絡し、休みをもらう。半日でも良いかと思ったが、念のため1日休んでしまうことにした。

    これが後で功を奏することになるとは、この時点では知る由もない。

  • AM 9:00

    手続きを済まそうと、産科の玄関前に到着したとたんに携帯が鳴る。出てみると産科の看護婦からで、「奥さん半分くらい進んでますから直ぐに来てください」と言われる。

    急いでナースセンターへ行くと、分娩室前で待つように指示される。

  • AM 10:20

    かなり長い時間待たされている。診察しているので20~30分待ってくれとのことだったのに、既に1時間20分経過。痺れを切らして看護婦を捕まえ、どうなっているのか聞いてみる。確認の後しばらくして、中に入れと指示される。

    中に入ると嫁が横になっていて、既に陣痛で苦しんでいる。こんなに苦しんでいる嫁の顔を見るのは初めてである。看護婦に、背中のさすり方を指示される。

    声をかけ、数回さすったところで「診察があるから」と、また分娩室外に追い出されてしまう。さっき入ったばかりなのに。

    仕方がないので外に出るが、またしばらく待たされてしまう。既に苦しんでいる姿を見てしまっているだけに、募る不安は大きい。そばに居てやりたいのに、入れない。立会いなのに。

    また看護婦を呼んで中を確認させる。

  • AM 11:10

    やっと呼ばれる。陣痛の「大きな波」がやってくるときの「恐怖」を抑えきれないらしく、パニックを起こし、呼吸が乱れる。とにかく背中をさすり、「ゆっくりと呼吸して!赤ちゃん苦しいよ!」などと声を掛けながら背中を大きくさする。

    気を紛らわそうと他の話をしても、あまりかみ合わない。それどころではないので仕方がない。余計なことは言わない事にして、とにかく背中をさすりながら呼吸を整えることに専念する。

    陣痛の波の谷間で、すうっと寝てしまうような、気を失ったような表情をして呼吸が浅くなったりすることが何度かあった。恐らく強い痛みと寝不足による疲労でそうなってしまうのだろう。そのたびに「ほら呼吸!がんばれ!」と声を掛け、呼吸を続けさせる。

    看護婦に「お昼過ぎには産まれるからね。頑張ってね」などといわれる。

    他の病院ではどうだかわからないが、この病院では看護婦が他の患者のところに行ったり、分娩室を離れたりする。入れ替わり立ち代り。大勢居るときもあれば誰も居ないこともある。

    苦しいときに看護婦の姿が見えないとやはり不安になるようで、「なんで看護婦さんいないの?」と嫁が僕に聞いてきた。

    カーテンがあるため、分娩室の全体は見えない。ましてや嫁は横を向いて寝ている。「看護婦さん居るよ。大勢周りをウロウロしてるよ。大丈夫だよ」と嘘を付く。嘘も方便。

  • AM 11:50

    嫁はしきりに時計を気にしていて、何度も時間を聞いてくる。昼過ぎには産まれると聞き、早くこの苦痛から逃れたいという気持ちからだろう。

    嫁が寝ている姿勢では時計が視野に入らないので、「もう12:00過ぎたよ。あとホンのチョットの辛抱だよ。頑張って」とまた嘘を付く。二度目の嘘も方便。

  • PM 12:00

    大分陣痛の間隔も短くなってきた。ちょっと診察しましょう、と言うことでまた外に出される。少しすると看護婦が来て、「これを着て待っていてください」と、ガウンと帽子、それにマスクを渡される。

  • PM 12:20

    看護婦に言われて分娩室に入ってみると、お産の体勢になっている。いきむ時に、嫁の肩と頭の下に手を入れて上半身を持ち上げるように指示される。

    胸元、首、顔、全てを紅潮させていきむ嫁。僕も隣で一緒にいきむ。4~5回程度いきんだところで頭が出てきた。「もう少し!がんばれ!」と声を掛ける。

    さらに2回で体が出てくるとき、医者が赤ちゃんの頭と首を支えて引っ張り出した。赤ちゃんが首根っこ掴まれて苦しそうな表情のまま引きずり出されるシーンは、思わず医者に「俺の赤ん坊に何すんだおい!」と言いそうになった。

    医者にとっては手馴れた動作なのだろうが、素人目には鮮烈すぎる。

    看護婦がとりあげた瞬間、嫁が「見せて!見せて!」とせがむが、「羊水吸い取ったら泣くから、ちょっとまってね」と諭される。

    無事、産声を上げた赤ん坊を見て、ほっとする嫁。涙する夫。

    PM 12:48、無事出産。

    ホントは最初に分娩室に入った瞬間、辛そうな嫁を見て既に泣きそうだったんだけどね。産まれるまで我慢できました。トホホ。

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