嫁がザク好きなワケ

うちの嫁はザクが好きだ。もちろん「機動戦士ガンダム」のザク。

ザク以外にも、ドムやズゴック、ゲルググ等といった主要なモビルスーツの名前を知っているようだ。とはいえ、嫁は別段ガンダムマニアというわけでもない。嫁がザクについて持っている知識といえば、“ガンダムというアニメに出てくるザク”といった程度のものだ。そもそも、殆どロボットアニメなどに興味は無い。それなのにザク関連グッズを欲しがる嫁を不思議に思い、なんで知っているのか尋ねたことがある。

すると、そこには悲しい過去が隠されていた。

嫁は末っ子で少し年の離れた兄貴がいるのだが、その兄はバリバリのガンダム世代。世代という意味では嫁もなんとか食い込んでいると思うのだが、放映当時も特に興味はなかったらしい。

幼少期の兄妹は多分に漏れず、毎年お正月が楽しみだった。もちろん目当ては「お年玉」。

親戚や両親から貰ったお年玉は、まずは一旦各々の懐に入る。すると後で兄がやって来て、「俺がいいもの買ってきてやるよ」と嫁のお年玉を有無を言わさず預かるのだそうだ。そしてイソイソと何処かに出かけ、買ってきたあるものを渡される。そう、「ガンプラ」だ。

嫁はそんなものに興味は無い。だからもちろん組み立てるのは兄である。

事態をよく理解出来ぬまま手渡されたガンプラの箱。それをただ呆然と眺めるしかない、幼かった頃の嫁。その姿を想像しながら、僕は声を出さずに泣いた。(若干脚色あり)

しかし、それで嫁がなぜザクを好きになったのかはよく判らなかった。トラウマから嫌悪の対象となってもおかしくないはずだ。

ただ想像に難くないのは、兄の手によって組み上げられたガンプラは、兄の机や本棚に飾られたのだろうということ。そしてそれらは、当時同じ部屋で生活していた嫁の目にも映ったに違いないということ。

ひょっとしたら美しく立ち並ぶモビルスーツ達の勇姿が、搾取され傷ついた嫁の心を癒していったのかもしれない。そしていつも棚の上から温かく見守ってくれた存在に、ゆっくりと魅了されていったのではあるまいか。

話を憶測から元に戻そう。

この件以外にも兄は子供の頃、妹である嫁に酷い仕打ちを色々としたらしい。そんな兄も今では立派な社会人になり、僕達夫婦が結婚した折には豪華なお祝いを頂いたりして非常に世話になっている。

そういった事に度々恐縮している僕をみて、「いいのいいの。これは罪滅ぼしなんだから」と言って嫁は笑う。

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